唐松岳日本一と言われる冬の絶景 長野県

日付・使用機材

訪れた日付2019/3/19~20
使用カメラNikon デジタル一眼レフカメラ D800 ボディー D800
使用レンズNikon 標準ズームレンズ AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR フルサイズ対応
その他 三脚使用なし レタッチあり 一部、多少のトリミング

アクセス

唐松岳登山は八方池山荘に前泊がおすすめ

雪山登山は危険があり、場合によっては命を落とすこともあります。この記事は雪山初心者が書いています。安全を保障するものではないです。この記事をもとに行動し、トラブルにあっても責任は負いません。

体力的な問題もありますが、仮に体力に自信があってもやはり出来ることなら前泊がおすすめです。何といっても前泊すると朝日を見る事が出来ます。朝日や夕日は都会でも絵になりますが、山からの朝日も最高です。しかも雪山からの朝日は都心近郊に住んでいると、なかなか見る機会がないのでとても新鮮です。

昼間の雪山の景色はスキーやスノボーが趣味の方はそれほど珍しいものではないのかもしれませんが、雪山の朝日となるとスキーやスノボーが趣味でもなかなか見ることがないように思います。また夜が快晴なら星空も綺麗だと思います。残念ながらこの日は夜は曇っていたし、私は荷物が重くなるのが嫌で三脚をあきらめたので星空の写真はありません。

八方池山荘まではゴンドラ、リフトで来れるので登山の経験は全くいりません。体力に不安があったら、頂上まで登ろうとせずに八方池山荘の周りで星空を撮ったり、朝日を撮るのもとても楽しいと思います。

山小屋に詳しくないので断言はできませんが、八方池山荘は山小屋の中ではおそらく設備が充実していて、過ごしやすい山小屋だと思います。トイレも水洗で綺麗だし、お風呂もあります。八方池山荘については↓下の記事でもう少し詳しく書いています。

冬の八方池山荘に宿泊

夜明け前に出発 朝日が最高

私はどちらかと言えば不眠症気味の体質で、自宅でもあまり眠れないことがよくあるので、山小屋ではよく眠れないだろうなと予想していましたが、予想通りあまり眠れませんでした(笑)これは環境が悪いのではなく、私の体質の問題です(笑)

山小屋の朝は早く、4時前くらいには起き始めて、ヘッドライトなどをつけて部屋でガサゴソと準備をしている方もいました。私は山小屋に宿泊は初めてなので正解が分かりませんが、これはマナー的には正しいのでしょうか?

もちろん早く出発するのは自由だし、登山では早く出発して早く到着、戻ってくるのが基本なので早く起きるのは良いのですが、4時ではまだ寝ている方もいるのだから荷物を休憩所に持って行って、そこで準備をすればいいのではないだろうかと思いました。休憩所は電気もついていたのでわざわざヘッドライトなど付ける必要もないし、まだ人もそれほどいなかったのでスペース的にも十分でした。

部屋で準備していた方たちは、初心者という感じではなかったので私の方が間違っているのかもしれませんが、私はとりあえず荷物を持って部屋を出て休憩所で準備を整えました・・・・・と言っても大して準備することもないので、休憩所でのんびりしていました(笑)

初めは日帰りのつもりで計画を立てていたのですが、どうせなら前泊して朝日も撮ろうかなと思って前泊に切り替えたので、日帰りのつもりが前泊なので余裕だろう、朝日を撮ってから出発でいいかなとこの時はまだ余裕でした。それにあまり早く出ても今回は三脚を持ってきていないので、夜明け前の光量がない時間帯は写真が撮れません。そんな考えだったので、早く起きてものんびりして出発を遅らせていたのですが、特にやることがないので結局夜明けの30分くらい前の5時過ぎには出発しました。

ライトがなくても歩ける感じの薄暗い状態です。もう既にだいぶ先行して歩いている方のライトが見えました。一つ目の登り坂を登った辺りで後方の空のオレンジ色が濃くなり、太陽が顔を出しました。

風もないし、雲もないし、これ以上ないくらいの天気です。写真としては少し雲があった方が絵になったかもしれないです(笑)

モルゲンロートも素敵

モルゲンロートとは早朝などに太陽の光によって山肌が赤く染まる現象です。実は今回はそこまで赤く染まりませんでした(笑)少し大げさにレタッチしています。登山初心者の私は詳しくないのでわかりませんが、日によってはもっと赤くなることがあるのかもしれません。

日の出から少し経っても魅力的な時間帯です。

夕日は山の向こう側です

八方池山荘付近からだと夕日は山の向こう側です。頂上山荘まで登れば夕日の絶景が見れると思いますが、冬季は頂上山荘は営業していないので上級者の方ならテント泊で夕日を見ることも可能かもしれませんが、初心者には頂上山荘からの夕日は無理があります。

八方池山荘付近からでも空が赤く染まると、日中や朝日とはまた違った綺麗な景色が見れます。

コース、タイム、水分などこまめにチェックしながら無理せず進みましょう

正直一つ目の登り坂を登って朝日を撮り終わった時に、何だかちょっと怪しさを感じました(笑)夏のテント泊登山では荷物が重すぎて、かなり辛かったので今回は三脚などは諦めて、カメラ機材はカメラ本体と標準ズームレンズ1本だけにしました。飲み物も冬だから少なくて大丈夫だろうと500mlしか持たなかったです。ところが何だか重たいです(笑)自分でも何でこんなに重くなってしまうのかわかりませんが、足に付けているアイゼンも含めると10キロ近くになってました(笑)

登山慣れしている人にとっては10キロは軽い方だと思いますが、やはり体力に自信のない人にとって10キロ背負っての登山はかなりきついです。

ネットで冬の唐松岳のコースタイムを見ると、八方池山荘から八方池まで30~50分くらいになっているのが多いように思います。朝日の撮影に時間を使いましたが、私は八方池まで1時間くらいかかっていました。

ペースを上げるにも10キロを背負っていると私の体力ではこれぐらいが限界です。もし日帰りであったらこの時点で山頂は諦めるべきです。このコースはコースの途中にいくつかケルンという岩を積み重ねた目印があるため、それらを目安にコースタイムを確認するとわかりやすいと思います。自分の体力やコースタイム、天候など確認しながら、計画的に無理なく進むことが大切です。

丸山ケルンに2時間以上かけて到着

写真を撮るのをいい休憩にしながら、何とか丸山ケルンまで到着しました。時計を見ると7時40分でした。5時過ぎに出発しているので、2時間以上かかっています。特別遅いペースではないと思いますが、日帰りの方のコースタイムを見ると2時間かかっていない人が多いので、日帰りなら遅いペースですが前泊で早朝に出発しているので山頂まで行っても時間的には十分余裕があります。

天候はここまで来てもほぼ無風の快晴です。体力的には結構きつくなってきていましたが、冬の北アルプスでこんなに天候がいい時はなかなかないだろうと思い、もう少し頑張ってみることにしました。

頂上山荘到着 丸山ケルンから約一時間

丸山ケルンから約一時間ほどで頂上山荘に到着しました。頂上山荘と言っても冬季は営業していません。山荘はだいぶ雪に埋もれてしまっている状態です。

ここまで来ると景色が一気に開けて一段と絶景が広がっています。ここまでの景色もとても素晴らしい景色ですが、ここからの景色はまた今までとは違う素晴らしさがあります。頑張ってきた甲斐がありましたし、明日仕事で朝が早いですが、来て良かったと思えました(笑)

唐松岳山頂も目の前です・・・・・しかし残念なことに唐松岳山頂に行くには、一度下って登らないといけません・・・・・マジかぁ・・・と思いましたが、それでも頂上まではあと20~30分くらいの道のりなのでもうひと頑張りだと思い山頂を目指しました。

時期にもよると思いますが、私が行ったときは頂上山荘から山頂を目指すための下りは雪が少なく、岩が露出していたり、ツルツルな氷だったりで滑りやすく注意が必要です。

あと頂上山荘から一度下って山頂を目指すのぼりが最後だと思うかもしれませんが、そうではないです。当たり前ですが山頂に登ったら引き返すわけで、今度は山頂から一度下って頂上山荘を目指して登るわけでそこが最後のきつい登りになります(笑)

唐松岳山頂 日本一の冬の絶景と言われる風景

頂上山荘から20~30分で唐松岳山頂に到着しました。山頂まで行くと冬の景色で日本一と言われる絶景が広がります・・・・・と言いたいところですが、風景としては頂上山頂の所とそれほど大きく変わらないように思います(笑)個人差はあると思いますが、頂上山頂の所にきて景色が開けたときほどの感動はなかったです(笑)

それでも頂上まで登ったという達成感はありますので、登る価値はあると思います。

雪質、気温など

雪質、気温などはおそらく時間と共に変化すると思うので、一日でガラッと変わることもあると思います。だから行く前からどういうものか決めつけていくというよりはある程度どんなものでも対応できるようにするのが正解なんだと思います・・・・・とは言っても初心者の方は持っている情報が少ないのでやはり気になると思います。なので一応私が行ったときの情報を書いておきます。

ただし私が行った一日だけの情報であり、必ずその通り、あるいはその通りの確率が高いといった情報ではないので注意してください。

雪質

もちろん場所によって雪質は違いますが、早朝の雪質は平均してみたらとても歩きやすい状態でした。硬くてツルツルというわけでもないし、深く足が沈むわけでもなく、アイゼンを履いて歩くと爪が程よく刺さり歩きやすかったです。日中、日が当たり気温が上がってくると雪が柔らかくなったのがわかりますが、それでも特別歩きづらくて大変という印象はなかったです。

ただし頂上山荘付近の下りで一部ツルツルで滑りやすい箇所がありました。

気温

この日は3月下旬のほぼ無風の快晴です。夜明け前の出発の時の私の服装は以下の通りです。

スパッツ、スウェット、スキーウェア
上 暖かい系の薄手のインナー、薄手のフリース、スウェット、スキーウェア
その他スキー用手袋、頭から首、口元まで覆い目だけ露出する感じのネックウォーマー、サングラス、通常の靴下

早朝でもこの服装で特に寒さは感じませんでした。歩き始めるとちょっと暑いなと感じてネックウォーマーはいらないかなと外したら、やはり完全に肌が露出するとすぐに耳が痛くなったのでかぶり直しました(笑)

日中、日が当たって下山の時間帯になると、結構暑さを感じネックウォーマーなしでも十分でした。歩いていると暑くなって最後は手袋も外しました。

実際に登ってみて私が感じたこと

登山初心者におすすめではないと思う

ネットで「唐松岳 冬」で画像検索するとたくさんの絶景写真が出てきます。自然の風景が好きな人なら、登山好きではなくても一度見てみたいと思うような素晴らしい景色です。

私は一昨年、初めて雪山登山をして雪山の景色が大好きになりました。そしてまたどこか雪山に行きたいなと思い、ネットで調べて冬の唐松岳の写真を見つけました。これは一度見てみたいなと思い、冬の唐松岳についてもう少し詳しく調べてみました。

すると「雪山初心者におすすめ」「日帰りでも行ける」「ゴンドラ、リフトで標高をかせげる」というような言葉が多く出てきます。これを見て私は「自分でも登れそうだな」と感じ挑戦しました。

今回は無事に唐松岳頂上まで行って帰ってくることが出来ましたが、前泊して、天候はこれ以上ないくらい恵まれて、地面も歩きやすい状態だったから登れたという感じでした(笑)

人間は(私だけかもしれませんが(笑))気をつけないと自分の都合の良いように認識してしまうことがあります。たしかに「雪山初心者でも行ける」「日帰りでも行ける」とは書いてありますが、「体力のない雪山初心者が単独でも日帰りで楽しく安全に登れる」とは書いていないです(笑)私にとっては体力的にかなり厳しい登山でした。

まず単独で登るならそれなりに体力がないと厳しいです。体力のあるベテランの方が荷物を二人分背負ってくれるならだいぶ楽になると思います。

そもそも雪山に初心者が単独で行くことが間違っていると言われればそうなのですが、雪山入門コースとして有名な入笠山や北横岳とは別物だと考えた方がいいと思います。入笠山や北横岳と比べると体力的にだいぶきついコースなので注意が必要です。

山頂まで行くなら雪山初心者はベテランの方と登るのが賢明

ネットの情報では唐松岳の雪山登山は「特に危険な所はなし、初心者でも・・・・・」と書かれているのを見かけます。これは基準をどこに設定するかの問題だと思います。おそらく検索上位に出てくる雪山登山の記事を書いている方はある程度ベテランの方が多いと思います。その方達からしたら、雪山登山がある程度危険なことは当たり前の事だし、もっと危険なコースを経験しているし、装備は万全、知識、技術もある程度備えている、そういった目線で見て唐松岳は危険なコースではないよと言っているのだと思います。

いくら若くて体力があっても何も知らない初心者が軽い気持ちで行ったら間違いなく危険があるコースだと思います。上の方まで行くとすれ違うのは厳しいほど道は狭くなるし、一歩踏み外したら大事になりそうな箇所も多いです。平均台のような細さではないので、普通の街中では踏み外すような細さではないですが、アイゼンを履いているので自分の服に引っ掛ける可能性もあるし、台風のような強風も当たり前のように吹く場所です。ピッケルなど雪山装備をそろえた所で滑った時に、素人が咄嗟に上手く使えるとは限りません。

実際に今年だけでも救助要請が何軒も発生しているコースです。初心者にとっては普通に危険なコースだと思います。

初心者は前泊がおすすめ

上でも書きましたが、やはり八方池山荘に前泊がおすすめです。ゴンドラ、リフトの利用でだいぶ楽に登ることのできるコースなのですが、その分日帰りだと早朝出発が出来ないので時間的に厳しくなってしまいます。

帰りのリフトに乗り遅れた場合ゲレンデの隅を歩いて下ることも出来るようですが、相当距離があるのでいくら下りとはいえ歩いて下るのは結構きついと思います。

当たり前だが天候が悪ければかなり危険

わざわざ言うまでもないことですし、ここのコースに限ったことではないですが、天候が悪ければかなり危険です。今回のように晴れて見通しが良ければ、人もたくさんいるし、トレースもあるし、余程のことがなければ道に迷うこともないと思いますが、見通しが悪くなり、トレースが消えてしまえば目印になるようなものもないので、道に迷う可能性も高いと思います。また転落の危険も高いです。

トイレがないので対策が必要

トイレ対策について私は正解がわかりません(笑)夏場は途中にトイレがあるし、頂上山荘も営業しているのでトイレを借りる事が出来ますが、冬季はトイレがありません。

普通なら携帯トイレを持参して対応するのだと思いますが、携帯トイレを持参したところで隠れて用をたすような場所がありません。終始見晴らしがよく、次々と登山者が登ってくるので、皆さんがどういう対策なのか疑問です。

私の場合は前日から水分、食べ物を極力減らすというボクサーっぽい対策にしました。(もちろん本当のボクサーは前日どころではなく、もっと前から厳しい減量対策をすると思います。)

登っている時は汗もかき、水分を取りすぎなければ5、6時間は大丈夫だろうという予想で、実際特に問題なかったのですが、他の方は普通に食事していたし、前日晩酌もしていたし、そこまで気にしているようには見えないのですが、どういった対策なのでしょうか?

水分は500mlでは足りない

私は普段からあまり水分を取らない方だと思います。子供の頃から水分を取ると異常なほどトイレが近くなる体質で、何も考えず普通に飲み物を飲んでしまうと一時間の授業がもたないので、子供の頃から飲み物を我慢していたら普通の人よりのどが渇きにくくなって汗もかきにくくなってしまいました(笑)最近では健康に良くないなと思い、のどが渇いてなくても飲むようにしています。

そんな自分の体質を考えると冬だし、重くなるのも嫌だし、そんなに水分は必要ないかなと思いアクエリアス500mlしか持って行きませんでした。

ところが思いのほか体力的にきついコースで、天気も快晴で気温も上がり、汗をかいたため、500mlでは足りず後半はだいぶ節約しながら進みました。

曇っていたり、風が強かったりすると、また汗の量も変わってくると思うし、もう少し服装を調節すればよかったとも思いますが、500mlはさすがに少なかったです(笑)

景色は評判通り最高でした

八方池山荘から登っている途中の景色も素晴らしいし、頂上山荘までくると壮大な山脈が見渡せて最高です。雪山になると装備をそろえなくてはいけないし、危険だし、誰でも気軽に簡単に登れるコースではないと思うし、天候も崩れやすい地域ですが、それでも人気があるのはやはりこの絶景があるからだと思います。

素晴らしい景色ですが、危険があることを理解してしっかり準備、対策を整えていくことが大切だと思います。