いろいろなピント位置を試してみよう

普段、写真を撮るときどこにピントを合わせていますか?

写真が趣味ではない人が友達の写真を撮るなら、友達の顔にピントを合わせてまっすぐ正面からピント位置が写真の真ん中にくるように撮るのではないでしょうか?料理の写真を撮るなら、メインの料理にピントを合わせて全体が写るように真上か斜め上からピント位置が写真の真ん中にくるように撮るのではないでしょうか?

それらの写真が悪いわけではないです。それらの写真も立派ないい写真です。友達との記念写真を撮るのに、友達の顔にピントが合っていなくて誰だかわからなくなってしまっていては失敗写真です。料理の写真を撮るのに、テーブルにピントが合っていて、何の料理かわからなかったら失敗写真です。

友達との記念写真、料理の写真など明確な目的があり、分かりやすい場合は問題ないと思います。目的に合わせたピント位置にすればいいと思います。ところが趣味でどこかに写真を撮りに行くとき、分かりやすい明確な目的がいつもあるでしょうか?

目的は何なのか?

例えばハイキングコースに桜並木と菜の花畑があったとします。日本人では一般的に桜の方が人気があるので、桜にピントを合わせて菜の花をぼかして撮るか、両方はっきり見せるようなパンフォーカスで撮ることが多いと思います。

観光施設の桜並木のパンフレットを作るのが目的なら、桜にピントを合わせるのが正解だと思います。しかし趣味では桜をはっきり見せるという目的が最初からあるわけではないです。趣味では明確な目的が決まっているわけではないです。

目的は何なのか?それも自分で自由に決めていいのです。自分は目の前の景色の何に一番感動したのか、それを伝えるためにどう撮るのが最適なのかと考えて決めるのです。目的が決まったら目的に合わせてピントを合わせるのが基本です。厄介なのが目的が抽象的な場合と目的は具体的でも最適な方法が分からない場合です。

目的が抽象的な場合

目の前の綺麗な景色を出来だけ綺麗に伝えたい。風景写真撮るなら誰もが持っている目的だが、この目的だとどう撮っていいのか、どこにピント合わせていいのか分からないですよね。

方法が最適なのか?

菜の花より桜が綺麗で視界いっぱいの桜に感動した。だから桜にピントを合わせた……正解だと思います。けれど他にも桜の綺麗さを残せる写真があるかもしれないです。

あえて手前の菜の花1輪にピントを合わせて、奥の桜を写真いっぱいに贅沢にピンクの背景として使っても菜の花を包み込むような桜の素敵さを表現できるかもしれないです。

結局センスと経験と好み?

目的が抽象的だったり、具体的な目的が決まっても最適な方法が分からない……では結局どうすればいいの?となると思います。結局センスと経験と好みだと思います(笑)センスと好みはある程度決まってますから、大きく変えられるのは経験です。

自由にたくさんいろいろな設定、アングルで撮ってみればいいのです。もちろん撮るだけ撮って、それで楽しければたくさん撮って終わるのもありです。たとえ上達、成果などなくても、趣味なら楽しければそれで正解です。撮るだけでなく見るのも好きなら、たくさん撮った写真をパソコンで一枚一枚見てみましょう。写真とその写真を撮った設定(絞り、ISO、シャッタースピードなど)を確認してみましょう。そして自分なりにいい写真はどういった設定、アングルで撮ったのだろう?悪かった写真はどういった設定、アングルだっただろう?と考えて、知識、経験を積んで自分の理想の写真に近づけていけばいいと思います。

菜の花にピントを合わせた写真
桜にピントを合わせた写真

 

好みは人それぞれです。プロの真似をしてみることでそこから学ぶことはたくさんありとても大切ですが、それで100%自分の理想の写真が撮れるわけではないです。いろいろ試して知識、経験を蓄積することも大切です。

昔のフィルムカメラと違い、たくさん撮ってもパソコンで簡単に確認する事が出来ます。失敗だと思えば消去すればいいだけです。

試しにいろいろなピントで撮ってみる

写真は2次元で平面ですが、写真に撮る実際の世界には奥行きがあります。奥の方にピントを合わして手前をボカしてもいいし、手前にピントを合わせて奥をボカしてもいいし、その間にピントを合わせて手前と奥を両方ぼかしてもいいのです。

ボケ具合はイメージセンサや絞りで変わってきます。イメージセンサ、絞りについては別ページで紹介します。手持ち撮影のため少しアングルが違ってしまっています。ごめんなさい。クリックすると拡大します。

 

手前にピント
中間にピント
奥にピント

 

手前にピント
中間にピント
奥にピント

 

同じ位置に立って、全く同じ方向、角度にカメラを向けてもピントを奥なのか、手前なのか、その間なのかで全然違った写真になります。

どれがいい、どれがダメということはないです。一つの場所からいろんな写真が撮れるのです。ピントだけでいろんな写真が撮れるという知識をもって撮影するだけで撮れる写真の幅が広がります。それがとても大切です。

いろいろ試してみることが大切ですが、実は欠点もあります。いろいろ撮ると時間がいくらあっても足りないのです(笑)

いろいろ試すのも大切、時間配分も大切

広大な施設や長いハイキングコースを一日で観たいという時は、一つの場所に時間を使ってしまっては他の場所を周れなくなります。だから一つの場所で一枚撮って終わりというのも間違いではないです。時間配分も含めていろいろな撮り方があります。一つの場所に納得するまで時間をかけるも、サクサク周ってたくさんの場所を撮るもそれぞれ自由です。その時間配分にも絶対正解、絶対間違いということはないです。

ただピント位置だけで全然違う写真になるんだなという知識を持っていることはマイナスにはならないし、写真の幅が広がると思います。知らないのとあえてやらないのとでは違います。知らなければ使えることはないですが、あえてやらないということは場合によっては使えるということです。