注目の2頭の対決
安田記念は東京競馬場1600mで行われます。3歳以上の馬なら牡馬でも牝馬でも出れます。春のマイル戦の頂上対決です。3歳馬も出れますが、3歳限定のマイルのG1レース、NHKマイルカップがあるので3歳馬が安田記念に出てくることはあまりないです。3歳馬と4歳馬以上は斤量でハンデは付けられますが、この時期はまだ3歳馬と4歳馬以上では力の差があり、3歳馬が勝つことはなかなか難しいです。
私が知っている中で3歳で安田記念を勝ったのはリアルインパクトくらいです。牝馬に関しても今は牝馬限定のマイルG1レース、ヴィクトリアマイルがあるので自信がないと安田記念に出てくることは少ないのかなと思います。牝馬で日本ダービーを制したウオッカはヴィクトリアマイルに出た後に安田記念にも出走していました。結果は2008年はヴィクトリアマイル2着、安田記念1着、2009年は両方とも1着という素晴らしい結果でした。
2019年の安田記念は復活したダノンプレミアムとアーモンドアイの2頭が出走するということで、競馬ファンの中ではかなり注目の一戦でした。
ダノンプレミアムは安田記念の前まで7戦6勝の内G1レース1勝の実力馬です。3歳の春までとても注目された馬ですが、体調不安や調整不安もあり日本ダービーで6着に負けてから3歳秋は1戦もせずの終えました。4歳になり金鯱賞、マイラーズCを勝ち、見事に復活しました。負けたのは日本ダービーだけで安田記念の前まで2000m以下では無敗でした。
アーモンドアイは3牝馬3冠を取り、その後ジャパンカップを世界レコード勝ち、ドバイターフも勝ち、8戦7勝の内G1レース5勝で牡馬も含めても現役最強の馬です。
実力ではアーモンドアイがリードしていますが、1600mという距離はダノンプレミアムの方が向いているという見方が多く、ダノンプレミアムにも十分チャンスがあるというとても注目のレースでした。
スタートでトラブル!?
日本ダービーの記事でも書きましたが、最近の東京競馬場の芝は速いタイムが出やすく、ちょっと特殊な状態になっています。通常、競馬はレース前半で前にいる馬が有利というわけではないです。残り500mで一番後ろにいる馬が勝つこともあります。最後まで分からないという、そこにもギャンブルとしての盛り上がりがあるのだと思います。
ところが最近の東京競馬場は芝の状態が特殊なため、どちらかと言えば前半に前につけた馬が有利という状況が多くなっています。そんな状況のため前半である程度前につけたいなと考えるのが普通だと思います。特にダノンプレミアムはもともと前半から中断より前につけてレースを進めるのが得意なので、前につけたいと考えていたと思います。
しかしスタート直後トラブルが起きました。一番外の16番ロジクライが好スタートを切ったのですが、その直後内によれてダノンプレミアム、アーモンドアイ共に妨害される形になってしまい、2頭とも中断より後ろにつけることになってしまいました。
特にダノンプレミアムは大きく妨害を受け、一瞬後ろ脚が沈むようになってしまいました。もともと中断より前につけてのレースが得意なこともあり、大きな痛手となってしまいました。
さらにスローペースに
先頭に行ったのはアエロリットです。アエロリットもNHKマイルカップを勝ち、去年の安田記念も2着になっている実力馬です。今の東京競馬場は前が有利とわかっていながらも、スタート直後のトラブルもあり人気馬2頭が後ろにつけることになり、その2頭を警戒したせいなのか、ペースはスローペースになりました。
スローペースということは前につけた馬がバテないので、後ろの馬は差しづらくなります。前有利の芝の上にスローペースということで、さらに前につけた馬が有利という展開になります。
最後の直線に入るとダノンプレミアムは失速
アエロリットが先頭のまま直線に入り、ダノンプレミアムは大外から追い上げを図りますが、追い上げることはできず失速してしまいました。結果最下位になってしまいました。レース後はすぐに騎手が下馬をして怪我をしていないか検査になりましたが、脚に異常はなかったようです。
アーモンドアイは懸命に追い上げるも3着まで
アーモンドアイは直線に入り、進路がなく前に行けない状況でしたが、外にもち出し、懸命に追い上げますが、あと一歩及ばず3着でした。負けても強さは見せてくれました。上位5着までのアーモンドアイを除いた4頭は、いずれも前半から前につけた馬です。このことからも前が有利な展開だったというのがわかると思います。
そんな中でスタートでトラブルがあり、直線では進路がスムーズに見つけられない状況になりながらもタイム差なしの3着まできたというのは、やはり強いと感じました。
勝ったのはインディチャンプ
勝ったのは先行して道中4、5番手につけていたインディチャンプです。ダノンプレミアム、アーモンドアイと同い年の牡馬です。G1レース初出走での勝利です。今まで10戦していますが、すべて4着までに入っているという安定感のある走りを見せています。秋のマイル路線も注目だと思います。
2着には逃げたアエロリットが粘りました。アエロリットはアーモンドアイより一つ年上の牝馬です。
なぜ安田記念?
アーモンドアイ、ダノンプレミアムの両陣営ともに「スタートのトラブルが痛かった、敗因はスタートのトラブル」という見解のようです。競馬ファンの方たちも楽しみにしていた一戦のため、なんだかモヤモヤした結果でスッキリしないという人も多いようです。
あくまで部外者の素人の私の意見ですが、一番の敗因は安田記念に出たことではないかと思います。セオリー通り宝塚記念に出ていれば問題なかったのではないかと思います。
宝塚記念ではなく、安田記念を選択した理由としてルメール騎手が乗っているレイデオロと同じレースに使いたくないからなどと囁かれていますが、具体的なハッキリとした理由は発表されていないように思います。(私が知らないだけで発表されているかもしれません。)ネットでは予測のような曖昧なニュアンスでしか書いていなくて本当の理由はわかりませんが、アーモンドアイの勝利を優先した選択ではなかったように思います。どちらかと言えばアーモンドアイならマイルでも問題なく勝ってくれるだろうという過信の方が強かったように思います。
もしかするとアーモンドアイの体質の弱さを考えて、長い距離を使いたくないということなのかもしれませんが、おそらく秋は天皇賞秋からジャパンカップ、もしくは有馬記念を選択するように思います。天皇賞秋、ジャパンカップ、有馬記念と3戦することも珍しくないですが、アーモンドアイは体質的には強くないため無理せずジャパンカップか有馬記念どちらかを選択するのではないかと思います。
いずれにしても秋のマイルチャンピオンシップには出てこないのではないかと思います。しかしそうなると尚更この安田記念出走は何だったのかという疑問が残ってしまいます。